同一労働同一賃金なら社労士の岩瀬事務所へ
平日 9:00~17:00 029-875-9480

同一労働同一賃金なら社労士の岩瀬事務所へ
|同一労働同一賃金

同一労働同一賃金の対応の必要性

今年4月から、中小企業において「パートタイム・有期雇用労働法」という法律が施行されました。この法律は、正社員と契約社員やパートタイマー、アルバイト、定年再雇用者等の社員(以下「非正規社員」という)との間の不合理な待遇差の解消を目的に、従来のパートタイム労働法が改正されました。そして、この「不合理な待遇差の解消」を目指して導入されたのが、「同一労働同一賃金」です。

同一労働同一賃金の基礎知識(待遇とは、均等、均衡待遇)

(1)「待遇」とは

パートタイム・有期雇用労働法は、同じ会社で働く正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差を禁止しています。ここでの「待遇」とは、基本給や賞与、諸手当等給与面だけでなく、休暇や休職、教育研修、福利厚生施設等福利厚生面も含まれます。そして、その待遇の一つ一つについて不合理な待遇差を禁止しています。これまで、多くの中小企業が、「パートだから時給」、「契約社員だから賞与は支給しない」、「アルバイトだから夏季休暇は付与しない」等のように、特に客観的かつ具体的に説明できる理由を設けず待遇を決定してきたと思いますが、これからはこのような理由の待遇差は禁止されます。では、正社員と同じ仕事をしているだけで、正社員と非正規社員の待遇は全て同一にしなければならないのでしょうか。必ずしもそうではなく、待遇差について不合理であるかそうでないかを判断する際の基準として、「均等待遇・均衡待遇」という2つの考え方があります。

(2)「均等待遇・均衡待遇」とは

均等待遇とは、非正規社員であることを理由として、給与面や福利厚生面等あらゆる待遇について差別的な取り扱いをしないことをいいます。一方、均衡待遇とは、正社員と非正規社員との間で、職務の内容等に違いがあればその違いに応じた賃金等を支払う、待遇を決めることをいいます。

(3)均等待遇の判断要素

均等待遇であるかを判断するためには、以下の2つの要素を考慮したうえで、同じであれば差別的取扱いが禁止され、正社員と同一の給与、待遇にすることが求められます。

①職務の内容

②職務の内容・配置の変更の範囲

ここでの①職務の内容とは、「業務の内容」と「責任の程度」を合わせたもののことをいいます。「業務の内容」は、いわゆる職業上継続して行っている仕事の内容と、それぞれの社員が通常行っている業務(中核的業務)のことをいいます。「責任の程度」とは、その社員がその会社で求められている職責及びその範囲のことをいいます。例えば、以下の内容が挙げられます。

(4)均衡待遇の判断要素

一方、均衡待遇とは、正社員と非正規社員との間で、職務の内容等に違いがあればその違いに応じた賃金等を支払う、待遇を決めることをいいます。均衡待遇であるかを判断するためには、以下の3つの要素を考慮したうえで、待遇差が不合理であるかが判断され、不合理であればその待遇差が禁止されます。

①職務の内容

②職務の内容・配置の変更の範囲

③その他の事情

ここでの①及び②は、均等待遇と同様の考え方ですが、均衡待遇の判断要素には③その他の事情が加わります。その他の事情とは、①及び②以外の事情で、個々の状況に合わせて判断されるものをいいます。具体的には、職務の成果、能力、経験、労使間の慣行、労使交渉の経緯等です。 均等待遇に該当せず、正社員と非正規社員との間で①~③について違いがあれば、その違いに応じた待遇を決定します。

岩瀬事務所の対応フロー

ここからは、弊所が提案・対応しているフローを以下のとおり説明します。

  1. 雇用形態区分の整理
    契約社員やパートタイマー等、どんな区分の社員が在籍してるかを整理します。
    雇用形態区分一覧(実際にクライアントに提示した内容です。)
    正社員 契約社員 パートタイマー 無期パートタイマー 嘱託社員
    職務内容 基幹業務 就業規則:特定業務
    雇用契約書:基幹業務
    (ただし、異動あり)
    補助業務 補助業務 基幹業務
    ※定年前と同じ
    職務内容の変更 あり 就業規則:なし
    雇用契約書:あり
    なし なし あり
    勤務地 限定なし 就業規則:限定あり
    雇用契約書:限定なし
    限定あり 限定あり 限定なし
    契約期間 無期 有期
    (1年以内)
    有期
    (1年以内)
    無期 有期
    (1年以内)
    所定労働時間 フルタイム フルタイム フルタイムor短時間 フルタイムor短時間 フルタイム
    時間外労働 あり あり あり
    ※休日労働はなし
    あり
    ※休日労働はなし
    あり
    給与形態 月給 月給 時給 時給 月給
    人数 3人 6人 2人 5人
    ※雇用契約書の記載内容及び就業規則の規定内容により分類。
    ※就業規則と雇用契約書で異なる場合のみ分けて記載。
  2. 「待遇(手当や休暇等)」の洗い出し
    非正規社員に適用されている待遇はどのようなものか、正社員に適用されている待遇はどのようなものかを洗い出して、適用の有無を整理します。
    待遇一覧表(実際にクライアントに提示した内容です。)
         
    項目 正社員 契約社員 パートタイマー 無期パートタイマー 嘱託社員備考待遇差の有無及び
    検証の必要性
    基本給 全雇用形態区分に制度はありますが、「月給」・「時給」の待遇差がありますので当該待遇差の検証は必要です。特にパートタイマーについては、全て時給ですので、具体的な職務内容等をヒアリングにて行います。
    職務手当 それぞれの職務の定義について、契約社員やパートタイマー等にも実態上当てはまるのかをヒアリングにて検証を行います。
    住宅手当 契約社員やパートタイマー等にも実態上当てはまるのかを検証するために、手当の趣旨及び目的を確認します。
    家族手当 契約社員やパートタイマー等にも実態上当てはまるのかを検証するために、手当の趣旨及び目的を確認します。
    賞与 賞与の決定基準について、人事評価制度と照らし合わせて確認を行い、その趣旨及び目的から均衡待遇の判断要素を基に検証を行います。
    夏季休暇 契約社員やパートタイマー等にも実態上当てはまるのかを検証するために、休暇の趣旨及び目的を確認します。
    ※非正規社員・・・契約社員、パートタイマー、無期パートタイマー、嘱託社員のことをいいます。
    ※〇⇒正社員、非正規社員共に制度あり(みなしを含む) △⇒非正規社員に一部制度あり ×⇒非正規社員には制度なし
  3. 「待遇差」の整理
    2.で整理した待遇で、正社員と非正規社員間でどのような「待遇差」があるかを確認します。
  4. 「均等待遇」となる社員がいないかヒアリング
    「正社員と同じ待遇にすべき非正規社員」がいないか、上司や上長と人事部等と交えて実態調査を実施します。
  5. 「待遇差の根拠」の確認及び「妥当性」の検証
    どのような理由で「待遇差」が生じているか、各手当や休暇等の趣旨・目的と照らし合わせながら根拠の妥当性を検討します。待遇差が妥当でない場合は、移行期間等を設けるなど対応策を提案いたします。 ※④で均等待遇となる社員がいなければ、「その他の事情」で待遇差の根拠を見出すことも可。
  6. 就業規則改定案の作成
    非正規社員に新たに適用する待遇及びその要件や、適用しない根拠を各規則に盛りこみます。
  7. 待遇差説明文書の作成
    各待遇について、「なぜ非正規社員と異なる待遇があり、その差はどのようなものか」を説明するための文書を作成します。
  8. 就業規則等規程類の改定
    各規則を改定し、非正規社員に周知します。